治療方針について

乳癌に対する治療

日本乳癌学会により提示された科学的根拠に基づく乳癌診療ガイドラインに則った治療を行っています。

・科学的根拠に基づいた乳癌診療ガイドライン2013年版:金原出版株式会社

更に2年に一度、国際乳癌学会でのコンセンサス会議の結果も踏まえて、最新の治療方針を決定しています。

2011年第12回国際乳癌学会での乳癌サブタイプの定義と推奨される全身治療

検診および診断

人間ドック、乳癌検診の二次検診、精密検査を毎日行っています。より正確な診断を目的として、デジタル乳房撮影装置(マンモグラフィ)を導入しました。加えて乳腺超音波検査や乳腺MRI検査を併用することで、診断および確定診断のための針生検検査へと迅速な対応を行っています。
また、CTを用いたセンチネルリンパ節診断を取り入れて、腋窩リンパ節転移の有無を調べ治療法の選択を行います。

センチネルリンパ節診断

乳房内にできた癌細胞が乳房内のリンパ管に進入すると、腋のリンパ節(腋窩リンパ節)へ転移し、その後、鎖骨下リンパ節などの遠隔リンパ節へと転移していきます。
癌細胞が近くのリンパ管へ進入したあと、最初に流れ着いた乳房周囲のリンパ節を「センチネルリンパ節(見張りリンパ節)」と呼びます。このリンパ節に癌細胞の転移がなければ、その先のリンパ節には転移がないと判断して、通常の腋窩リンパ節の切除(腋窩リンパ節郭清)はしないというのが”センチネルリンパ節生検法による腋窩リンパ節郭清省略”の理論です。
当科では、このリンパ節の存在を造影剤を使用した胸部CT検査により診断することとしています。存在部位が確定した場合には、手術時に色素を使用したセンチネルリンパ節生検を行い、腋窩リンパ節郭清の適応を判断します。
しかしながら、数%にセンチネルリンパ節が認められないことがあり、この場合は標準的な腋窩リンパ節郭清をお勧めしております。

早期乳癌

早期乳癌については、乳癌診療ガイドラインをもとに、十分なコンセンサスを得て治療を開始いたします。具体的には、乳房温存手術を標準手術とし、DCIS(非浸潤癌)確定例には腋窩リンパ節郭清を原則として省略しています。
浸潤癌における腋窩リンパ節郭清については、術中センチネルリンパ節生検、迅速診断の結果に基づいて、郭清の可否を判断しています。
手術後治療は、ホルモン依存性に応じた内分泌療法(ホルモン療法)と残存乳腺に対する術後放射線照射(京都大学放射線科との連携)を受けていただきます。また、Ki-67等に代表される癌の増殖能に応じて、術後の補助化学療法も積極的に行っております。

乳房温存手術 + 乳房再建術について

進行乳癌

  1. 術前化学療法
    昨今の化学療法の高い奏功率を期待して、手術の前に約1‐2ヶ月間の化学療法を行うことで、ある程度の腫瘍の進展をコントロールした後に乳房温存手術等の根治術を行います。
    具体的な薬剤としては、内分泌・ホルモン療法剤のアロマターゼ阻害剤に、注射剤のタキサン系やアントラサイクリン系剤などを効果的に組み合わせる方法をとっています。
  2. 内分泌・化学療法
    進行・再発乳癌は完全治癒が困難であることが多いことから、QOLの改善と生存期間の延長を目的とした治療が行われます。世界的にコンセンサスが得られているHortobagyiのアルゴリズムに則り、前述のホルモン療法と化学療法に分子標的薬(トラスツズマブ、ラパチニブ、ペルツズマブ、エベロリムス)を加えた治療方針が選択されます。