治療方針について

脱腸(鼠径・大腿・腹壁瘢痕ヘルニアなど)の治療

鼠径ヘルニア、大腿ヘルニアに対しては、ダイレクト・クーゲル法を第一選択とし、早期退院可能な手術を行っています。また、再発例等の症例に応じて、プラグ・メッシュ法やプロリン・ヘルニアシステムも使用しています。更に、最新のメッシュ・パッチを使用した術後疼痛の少ない腹腔鏡下鼡径ヘルニア修復術(TAPP法)や、腹壁瘢痕ヘルニアに対する腹腔鏡を用いた修復術も新たに導入しました。

腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術(TAPP法)について

1. 腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術の適応は?

原則として、すべての鼠径部のヘルニアが対象となりますが、メッシュが使用できない腸管壊死例や、全身麻酔が不可能な例では、従来の鼠径部皮膚切開による修復方法が選択されます。

2. 腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術に起こりうる合併症

出血
遅発性の出血もありますので、2週間ほどは無理な運動は避けてください。
感染、化膿
何ヶ月かしてから発症するものもありますので、創部の発赤や浸出液を認めた場合は、診察を受けましょう。
創部の腫脹、硬結
術後の全ての方に観察されます。2週間から1カ月程度で軽快してきますが、完全に傷が平坦で柔らくなるには半年から1年程要します。
違和感
特に医療用メッシュを用いた場合に感じられることがありますが、こちらも数カ月程度で軽快します。
術後の痛み(術後疼痛)
術後まったく痛まないということはありませんので、手術後には鎮痛剤を処方します。
再発
最近は再発率は低くなってきていますが、全ての手術患者さんの内で、約2~5%と推測されています。
反対側のヘルニアの発症
腹壁の脆弱性に起因した病態ですので、対側にも同様の現象は起こり得ます。
漿液腫
ヘルニアの袋が大きい場合には、手術部位に水が溜ることもありますが、1か月ほどで落ち着いてきます。自然に吸収されて消えることも多いですが、外来で針を刺して排液をする必要があります。
術後の慢性疼痛
一般的に、外科手術後に古傷が痛むといったようなことはあります。ヘルニアの手術であっても術後長期にわたって痛みが継続することがあります。原因として、手術操作自体や手術に使用したメッシュ素材による鼠径部の神経障害が考えられています。