平成30年度 日本バプテスト病院 病院指標

総合内科患者で最多は誤嚥性肺炎でした。平均年齢が高く、再発を繰り返す特徴があります。
転院率も最多で、嚥下機能が低下しているため自宅や施設への退院が困難で、療養型病床への転院を余儀なくされるという特徴があります。
患者数2位の尿路感染症、3位の市中肺炎、4位の敗血症は、いずれも高齢者であるという特徴があり、高齢化社会を反映していると思われます。また、地域医療に特化した当院の特徴であると思われます。

循環器（心臓や血管）の病気で当院に入院される方の多くは、心不全の患者さんです。心筋梗塞や心筋症などの病気から心不全を発症される方もおられますし、高血圧による長年の心臓への負担も心不全の原因となります。高齢者に多い心房細動は、脳梗塞の原因となるだけではなく、弁膜症や心不全を引き起こすこともあります。また、肺炎などの感染症をきっかけに心不全が悪化する方も、しばしば見受けます。
当院では、心不全で入院された患者さんに、できるだけ早く元の生活に戻っていただくよう努めています。しかし、社会の高齢化に伴い、心不全による入院を繰り返される患者さんが増えているのも実情です。そこで、特に介護を必要とされる高齢の心不全患者さんには、ご家族や地域の先生、施設や在宅で介護サービスを担当していただく方々とも連携して、それぞれの患者さんに適した退院後の環境を整えるよう取り組んでいます。

小児科は新生児特定集中治療室管理料1を算定する9床のNICUを運営しています。NICU専従担当者を1名24時間常駐させ、別に小児科オンコールを24時間設定しています。
小児科入院ではRSウイルス細気管支炎など市中感染症症例や川崎病が多数です。ときおり低身長や食物アレルギーの負荷試験入院や、重症心身障害児のレスパイト入院があります。
NICUでは在胎週数や出生体重に制限なく、超低出生体重児・極低出生体重児の入院を受け入れています。新生児呼吸障害に対する人工呼吸管理や一酸化窒素吸入療法、重症分娩時仮死蘇生後の低体温療法も行っています。新生児紹介に対して小児科医師同乗による院内救急車での緊急新生児搬送も行っています。

関節リウマチに伴なう体調の変化や多発性の脊椎骨折後にさらに骨傷をきたした方、高齢で脊柱の疾患を伴ない自宅での生活が困難になっている方など、多重の症状・疾患をきたしている方々の急性期リハビリを重点的に診療を行っています。

当院は京都で最初に創設されたNICUを有する地域周産期母子医療センターです。
母体搬送は妊娠週数や児体重の制限なく可能な限り受け入れたおり、毎年20件以上の搬送があります。また小児科医が常在しており、リスクの高い分娩においても安心して分娩に臨んでいただけます。

ホスピス科に入院となる疾患については、肺癌、胃癌や大腸癌などの消化管癌、肝胆膵癌をはじめとして、泌尿器科癌、乳癌、婦人科癌、頭頸部癌の順となっています。病状が進行した状態で入院される患者さんが多く、疼痛や呼吸苦などの身体的苦痛に対する症状緩和治療の他、心の苦しみを和らげるケアも行います。

軽度脳梗塞の急性期疾患に対応しています。
また、パーキンソン病などの変性疾患のリハビリテーションを行っています。

非ホジキンリンパ腫や急性白血病、骨髄異形成症候群などの患者さんが多くおられます。当院では6床のクリーンルームを配備し、質の高い医療を行っています。

症例数が最も多かったのは、大腸腫瘍に対して内視鏡的治療を行なった患者さんでした。次に多かったのは総胆管結石、胆管炎の患者さんであり、こちらもほとんどの方が内視鏡的治療を受けられています。続いて細菌性腸炎や憩室炎などの感染症が多かったようです。

糖尿病治療においては患者自己管理が必須なので、診療の中心は多職種チームによる療養指導となります。教育入院は２週間コースと５日コース（基礎コース）があります。通院患者向けの食事指導は随時またはシリーズで行います。外来糖尿病教室を年に数回開催しています。

小児科入院に関連する手術としては、新生児仮死蘇生術が多数あります。他に未熟児網膜症に対するレーザー凝固術も行います。

成人鼠径ヘルニアに対する手術では、術後の傷の痛みが少ない腹腔鏡下手術（お腹の中から穴を塞ぐ方法）が、好評を得ています。しかしながら、心臓や肺にご病気のある場合や下腹部手術の既往がある場合には、従来の方法（お腹の外側から穴を塞ぐ方法）をお勧めしています。いずれも、術後２日目には退院されることが殆どです。
胆嚢ポリープや胆石症に対しても、腹腔鏡による傷の小さな手術を選択し、術後３、４日で退院可能です。しかしながら、胆嚢炎の場合には、その程度によっては開腹手術（お腹を大きく切る従来の方法）に移行し、安全な手術を優先する場合もあります。
虫垂炎（いわゆる盲腸の手術）には、腹腔鏡下虫垂切除術も積極的に行われ、早期の退院が可能です。なお、膿が溜まる等の腹膜炎の程度によっては、開腹手術を選択する場合もあります。
結腸癌に対する腹腔鏡手術では、術後２週間程度の入院が必要ですが、直腸癌の場合には、人工肛門造設術等の有無により、少し長めの入院が必要な場合もあります。
乳癌の手術では、センチネルリンパ節の生検を行うことで、腋のリンパ節郭清を省略したり、乳房を温存する手術と放射線照射の併用治療も選択することが可能です。

帝王切開術は約70件程度あり、当科の手術件数の中では最多です。
近年、婦人科手術においても低浸潤な腹腔鏡手術に力を入れており、手術件数は徐々に増加傾向です。
悪性手術はしておりませんが、京大病院の腫瘍専門医による外来を設けており、悪性腫瘍の場合は迅速に京大病院に紹介しております。

患者さんの状態に応じて治療医と連携し、消化管狭窄や閉塞性黄疸に対する内視鏡的ステント留置術、腹水に対する腹水濾過濃縮再静注治療（CART）も行っています。

消化器内科の手術のうち最も件数が多いのは、大腸ポリープの切除です。内視鏡的乳頭切開術は総胆管結石や胆管腫瘍などの胆道疾患の治療を内視鏡下に行うために、十二指腸にある乳頭を切開し広げる手術です。内視鏡的胆道ステント留置術は、総胆管結石や胆管腫瘍などにより胆汁鬱滞をきたした場合に、ステントという管を入れて流れをよくする手術です。血管塞栓術は、当院では主に肝細胞癌に対して行なう治療で、カテーテルを用いて腫瘍の栄養血管に塞栓物質を注入し血流を遮断する治療です。